PROJECTS

分析・センシング技術開発・データフュージョン

文化財の調査は,工業製品の検査のようにサンプルを抜き出して分解調査をするような破壊検査をすることができません。そのため,非破壊非接触で物体の内部を観察したり材料を調査できる電磁波が用いられます。構造を観察する場合,透過する深さと分解能は周波数に依存するため,対象に応じて最適な周波数を選択します。例えば地中の遺構や埋蔵物の調査には,分解能は低くても深くまで透過する電波が用いられ,絵画のニス層は光断層トモグラフィーが用いられます。
本プロジェクトでは,適用するための計測装置の改良に加え,様々な周波数帯域の非破壊検査技術で得られたデータの比較解析を情報系の技術を用いて高度化します。

文化財調査に用いられる周波数帯
文化財調査に用いられる電磁波

考古出土品データ分類・解析への機械学習の活用

日本ではユーラシア大陸を様々なルートで渡ってきた古代の作品が出土されています。それらを時空間に配置し直して俯瞰することで,実在するモノに基づいた人類の歴史を辿ることができるはずです。出土品に関する膨大なデータを効率的に解析するには,機械学習など情報学を活用することが有効と思われます。
科学調査結果に基づき,データサイエンティスト達が先入観なく解析して作る「出土品の時空俯瞰図」は,人文系の分野で人類の活動や芸術の技法の伝搬などを研究するための素材として活用できるでしょう。

飛鳥寺塔心礎埋納物
飛鳥寺塔心礎埋納物(飛鳥寺跡第三次調査 塔心礎出土品 集合)
出典:奈良文化財研究所公開画像

(参考)奈良文化財研究所の研究成果例

石造文化財の表面劣化のメカニズム解明

温度湿度の変化が主な原因と考えられている石造文化財の表面劣化のメカニズムを理論的に解明し,遺跡など様々な作品の保存修復に貢献します。

(参考)奈良文化財研究所の研究成果例